ホームページにGoogleアナリティクスを入れたけれど、画面を開いても数字が並んでいるだけで何をどう見ればいいのかわからない。そんな声は歯科医院の院長から本当によく聞く。
アクセス解析は確かに便利だが、見る指標を間違えると改善どころか迷走する。逆に、最初に見るべきポイントを押さえておけば、ホームページ経由の問合せや自費診療の相談を増やす手がかりがつかめる。
この記事では、歯科医院が最低限チェックすべき5つの指標と、それをもとにした改善の流れを順を追って示す。数字の羅列に惑わされず、成果につながる使い方だけを知りたい院長に向けて書いた。
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Googleアナリティクスには何十種類も指標があるが、歯科医院がまず見るべきは次の5つだけでいい。これ以外は後回しでも構わない。
ユーザー数(訪問者数)
ホームページに何人が来たかを示す数字。この数が少なければ、そもそも見られていないということになる。
全国の歯科医院ホームページの月間訪問者数は、診療圏や広告の有無で大きく差が出るが、目安として月500人を下回っているなら集客の入口に問題がある。SEO対策やリスティング広告の見直しが必要になる。
セッション(訪問回数)
ユーザー数が「人数」なら、セッションは「訪問回数」。同じ人が何度も来ればセッション数のほうが多くなる。
歯科の場合、初診を検討している人は複数回サイトを訪れることが多い。セッション数がユーザー数の1.5倍以上あれば、検討度の高い訪問者が含まれていると判断できる。
ページビュー数(PV)
サイト内で何ページ見られたかを表す。訪問者が1回の訪問で何ページ読んだかの総数になる。
ユーザー数に対してPV数が極端に少ない場合、トップページだけ見てすぐ離脱している可能性が高い。逆にPVが多ければ、複数の診療メニューや院内紹介を回遊している証拠になる。
直帰率
最初に開いたページだけ見て、他のページに移動せずに帰ってしまった人の割合。
歯科医院のホームページでは、直帰率60%以下が一応の目安とされる。80%を超えている場合、ファーストビューの内容や導線に問題がある可能性が高い。訪問者が求めている情報と、ページの内容がずれているかもしれない。
コンバージョン数(目標達成数)
予約ボタンのクリックや問合せフォームの送信など、サイト上で設定した目標を達成した回数。
この数字がゼロのままなら、そもそもコンバージョン設定ができていない。Googleアナリティクス4(GA4)では「イベント」として計測するため、初期設定が必要になる。〔外部リンク:GA4のコンバージョン設定方法〕
月間のユーザー数に対してコンバージョン数が1%未満の場合、ページの導線や予約ボタンの配置、フォームの入力項目などに改善の余地がある。
ホームページ経由の問合せが少ない原因の見つけ方
5つの指標を見たら、次は問題箇所の特定に入る。ここでは代表的な3パターンを示す。
ユーザー数が少ない場合
訪問者そのものが少ない状態。この場合、ホームページの中身をいくら改善しても成果は出ない。
対策としては、Google検索での表示順位を上げるSEO対策か、リスティング広告の出稿が必要になる。歯科医院のSEO対策で検索順位を上げる方法もあわせて確認したい。
歯科医院の場合、診療圏内で「地域名+歯科」「地域名+インプラント」などのキーワードで上位表示されているかどうかが、ユーザー数に直結する。
直帰率が高い場合
訪問者は来ているのに、すぐ帰ってしまう状態。ファーストビューで離脱されている可能性が高い。
改善箇所の候補は以下の通り。
トップページのメインビジュアルが古い写真や抽象的な画像になっていないか。診療内容が一目でわからない構成になっていないか。スマホで見たときに文字が小さすぎたり、読み込みが遅すぎたりしないか。
直帰率が80%を超えている場合、まずスマホ表示を確認してほしい。患者の74.4%がオンライン検索で情報を得ており、そのうち多くがスマホ経由とされる。〔外部リンク:歯科医院のWeb集客に関する調査データ〕
コンバージョン数が少ない場合
訪問者もいて、ページも見られているのに問合せに至らない状態。導線か、予約ボタンの配置に問題がある。
予約ボタンがページ下部にしかない、電話番号がわかりにくい、フォームの入力項目が多すぎるといった要因が重なると、コンバージョン率は下がる。
改善の基本は、予約ボタンをページ上部と下部の両方に置くこと、電話番号を常に表示すること、フォームの項目を必要最小限にすることの3つ。
自費診療の問合せを増やすために見るべきページ
自費率を上げたい場合、全体のアクセス数だけでなく、自費診療メニューのページがどれだけ見られているかを確認する必要がある。
Googleアナリティクスの「ページとスクリーン」レポートを開くと、各ページのPV数がわかる。インプラント、矯正、ホワイトニングなど、自費メニューのページがトップ10に入っていなければ、そもそも見られていない。
見られていないページには、次のような原因がある。
トップページからのリンクが目立たない。ブログや他のページからの導線がない。Google検索でそのページが上位表示されていない。
自費メニューのページを見た人のうち、どれくらいが問合せに至っているかを追うには、ページごとのコンバージョン率を見る。この数字が低ければ、ページの内容を見直す。料金が不明瞭、症例写真がない、治療の流れが書かれていないといった要素は、問合せのハードルを上げる。
なお、治療のビフォーアフター写真を掲載する場合、医療広告ガイドラインでは詳細な説明とリスク・副作用の併記が義務付けられている。〔外部リンク:医療広告ガイドライン〕
改善を回すための週1チェックの習慣
Googleアナリティクスは入れただけでは意味がない。週に1回、決まった曜日に5分だけ見る習慣をつけることで、変化に気づけるようになる。
見るべきは前週との比較。ユーザー数が増えたか減ったか、コンバージョン数に変動があったか、直帰率が上がっていないか。この3点だけでも十分だ。
変動があった場合、その週に何をしたかを振り返る。ブログを更新した、広告を出した、SNSで投稿したといった施策と、数字の動きを紐づけていくと、何が効いて何が効かないかが見えてくる。
逆に、何もせずに数字だけ眺めていても改善は進まない。仮説を立てて施策を打ち、数字で検証するサイクルを回すことが、ホームページを成果につなげる唯一の方法になる。
Googleアナリティクスだけでは見えない部分
Googleアナリティクスは強力なツールだが、万能ではない。見えない部分もある。
たとえば、訪問者がページ内のどこをクリックしたか、どこまでスクロールしたかは、アナリティクスだけではわからない。これを補うには、ヒートマップツールの導入が有効になる。
また、電話での問合せはGoogleアナリティクスでは計測できない。電話番号を複数用意して広告ごとに出し分けるか、電話トラッキングツールを使うことで、どの経路から電話が来たかを把握できる。
歯科医院の場合、電話取りこぼしによる機会損失は年間約500万円とされる調査もある。〔外部リンク:Apotoolの電話取りこぼし調査〕
ホームページ経由で電話がかかってきた際、受付が対応できずに折り返しもできなかった件数は、アナリティクスには一切残らない。この部分を可視化するには、電話対応の記録や、折り返し対応の仕組みを整える必要がある。歯科医院のWeb予約導入も検討材料になる。
数字を見ても改善が進まないときの対処法
Googleアナリティクスを見ても、何をどう変えればいいかわからないという相談は多い。この場合、次のいずれかに当てはまっていることが多い。
目標が曖昧。比較する基準がない。施策を打っていない。
目標が曖昧な場合、まず月間の目標コンバージョン数を決める。たとえば、月10件の自費相談を獲得したいなら、そこから逆算してユーザー数やコンバージョン率の目標を設定する。
比較する基準がない場合、最低でも3か月分のデータを蓄積してから見る。1週間や1か月だけでは、季節変動や偶然の影響を切り分けられない。
施策を打っていない場合、いくら数字を見ても改善は起きない。ブログを週1回更新する、広告を月5万円出してみる、予約ボタンの色を変えてみるといった小さな施策から始める。
改善は一度で劇的に変わることはほとんどなく、小さな変更を積み重ねて少しずつ成果が上がっていく。焦らず、週1回のチェックと月1回の振り返りを続けることが、結果的に一番早い。
アクセス解析は、見るべき指標を絞り、施策と結果を紐づけて回していくことで初めて機能する。Googleアナリティクスを開いたまま放置せず、数字を起点にした改善サイクルを回してほしい。